立ち止まる勇気
次の日、私は病院へ行った。診断は「適応障害」。
――あなたの心は、もう限界です。
そう言われた瞬間、心のどこかで「やっぱり」と思った。ずっと無理をしていた。でも、それを認めるのが怖かった。立ち止まることが怖かった。
だけど、もう決めた。
会社を休職しよう。
それを会社の仲の良い友人に伝えたとき、最初は驚かれた。でも、説明すると「そうか」と静かに頷かれた。
「……大変だったね。気が付かずにごめんね。」
その言葉に、また涙が溢れそうになった。私はずっと、誰にも頼れないと思っていた。でも、そうじゃなかったのかもしれない。
それからの日々は、ゆっくりとした時間の流れだった。
朝、上の子を見送るときに「いってらっしゃい」と笑って言えるようになった。
下の子の体調も回復し、甘えてくる時間が増えた。
久しぶりに、子どもたちと一緒に公園へ行った。
空が青いことに気づいた。風が心地よいことに気づいた。
私は、こんなにも大切なものを見落としていたんだ。
もちろん、すぐにすべてが解決するわけではない。でも、ひとつだけ分かったことがある。
立ち止まることは、負けじゃない。
自分を大切にすることで、大切な人を守ることができる。
リビングのカーテンの隙間から、春の日差しが差し込む。
その光は、久しぶりに私の心を温めてくれた。