1. 除外率の引き下げ(2025年4月1日施行)
特定の業種に適用されている「除外率」が、2025年4月1日から一律10ポイント引き下げられます。これにより、これらの業種における障害者の法定雇用義務が増加します。
除外率とは:
除外率とは、障害者の就業が一般的に困難と認められる業種において、法定雇用率の計算から一定割合の労働者数を除外する制度です。これにより、該当業種の企業は障害者の雇用義務が軽減されていました。
主な業種と改正後の除外率:
業種 | 改正後の除外率 |
---|---|
非鉄金属第一次製錬・精製業、貨物運送取扱業(集配利用運送業を除く) | 5% |
建設業、鉄鋼業、道路貨物運送業、郵便業(信書便事業を含む) | 10% |
港湾運送業、警備業 | 15% |
鉄道業、医療業、高等教育機関、介護老人保健施設、介護医療院 | 20% |
林業(狩猟業を除く) | 25% |
金属鉱業、児童福祉事業 | 30% |
特別支援学校(専ら視覚障害者に対する教育を行う学校を除く) | 35% |
石炭・亜炭鉱業 | 40% |
道路旅客運送業、小学校 | 45% |
幼稚園、幼保連携型認定こども園 | 50% |
船員等による船舶運航等の事業 | 70% |
(出典:厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」)
計算例:
例えば、建設業で常時雇用する労働者が1,000人いる場合、改正前は除外率20%で計算されていましたが、改正後は10%となります。これにより、法定雇用障害者数の計算が以下のように変わります:
- 改正前: (1,000人 – 1,000人 × 20%) × 2.5% = 20人
- 改正後: (1,000人 – 1,000人 × 10%) × 2.5% = 22.5人(小数点以下切り捨てで22人)
このように、除外率の引き下げにより、企業が雇用すべき障害者の人数が増加します。
2. 法定雇用率の引き上げ(2026年7月1日施行予定)
民間企業の法定雇用率が、2026年7月1日から現行の2.5%から2.7%に引き上げられる予定です。これにより、障害者の雇用義務がさらに強化されます。
法定雇用率とは:
法定雇用率とは、企業が雇用する労働者に対して、一定割合以上の障害者を雇用することを義務付ける制度です。この割合は、社会全体の障害者の労働力人口比率などを考慮して設定されています。
影響と対応:
法定雇用率の引き上げに伴い、障害者を雇用しなければならない企業の範囲も拡大します。例えば、従業員数が40人以上の企業は、現在1人以上の障害者を雇用する義務がありますが、法定雇用率が2.7%に引き上げられると、約37人以上の企業が対象となります。
これらの改正により、企業は障害者の雇用促進と職場環境の整備を一層推進することが求められます。具体的には、障害者の採用計画の見直しや、職場のバリアフリー化、障害者が働きやすい環境づくりなどが重要となります。
詳細については、厚生労働省の公式サイトをご参照ください。