有料職業紹介事業とは?
事業の目的
求職者と求人者をマッチングさせ、雇用契約の成立を支援するサービスです。報酬(手数料)を得て行う場合は「有料職業紹介事業」として厚生労働大臣の許可が必要です。
職業紹介とは
- 求職者からの申込みを受け、求人者に紹介する
- 両者の間で雇用契約が成立するよう「あっせん」を行う
- ハローワーク、民間人材会社、大学のキャリアセンターなどが該当
有料と無料の違い
区分 | 定義 | 許可・届出の違い |
---|---|---|
有料職業紹介 | 手数料を得て紹介 | 厚労省の「許可」が必要 |
無料職業紹介 | 無償で紹介 | 「届出」のみで可(学校・NPOなど) |
主な法的根拠
- 職業安定法(第32条〜)
- 職業紹介事業関係規則
- 個人情報保護法 などの関連法令
関連制度
- 紹介予定派遣:最初は派遣として働き、その後に正社員等へ切り替える制度
- 外国人労働者の紹介:特別な配慮や法令遵守が求められる
許可基準の詳細(3つの要件)
1. 人的要件(適正な人材がいるか)
職業紹介責任者の設置
- 1事業所につき1名以上の専任かつ常勤の「職業紹介責任者」を置くことが義務。
- 責任者は厚生労働省指定の講習(職業紹介責任者講習)を受講済みである必要があります。
- 初回は受講前でも申請可ですが、許可後1か月以内に講習を受講することが条件。
欠格事由のない者
- 法人の場合、役員に次のような人が1人でもいると許可不可:
- 禁固以上の刑を受けて5年経過していない人
- 破産して復権していない人
- 職業安定法や労働者派遣法などの法令に違反し、処分を受けた法人の元役員など
2.物的要件(施設・設備に関する基準)
事務所の確保
- 事業専用の独立した事務所スペースが必要(※自宅や飲食店などとの併用は不可)。
- 面談や個人情報の管理が適切に行える環境が求められます。
表示義務
- 事務所の入口などに**「有料職業紹介事業所」等の表示**が必要。
- 事業の主体者名(法人名・屋号など)も明示します。
書類・帳簿の整備
- 求職者・求人者の申込書、紹介記録などを備え付け保管するための体制。
- 書類は3年間の保管義務があります。
3.財産的要件(資本・財務に関する基準)
法人の場合
- 基準資産:500万円以上(流動資産-流動負債)
- 純資産:150万円以上(全資産-全負債)
個人事業主の場合
- 基準資産:300万円以上
- 純資産:150万円以上
※「基準資産」と「純資産」の両方を満たす必要があります。
職業紹介事業【申請から許可取得までの流れ】
Step 1:事前準備
- 申請者の資格や要件を確認(人的・物的・財産的要件をクリアしているか)
- 事務所の確保・整備
- 必要書類の収集と作成(定款、登記簿謄本、財務諸表など)
🔸所要期間:1〜2週間程度(準備状況による)
Step 2:申請書の提出
- 管轄の都道府県労働局 職業安定部門へ提出
(郵送ではなく、原則窓口提出) - 提出書類の一例:
<基本情報に関する書類>
書類名 | 内容・ポイント |
---|---|
許可申請書(様式第1号) | 厚労省指定の様式。法人情報、事業内容、責任者の氏名などを記載。 |
誓約書(様式第2号) | 欠格事由に該当しないことの誓約。 |
役員一覧表 | 法人の全役員の氏名・住所・生年月日などを記載。 |
履歴書(役員・責任者) | 代表者・責任者全員分が必要。押印必須。 |
戸籍抄本や住民票(役員・責任者) | 個人事業主の場合も含む。発行3か月以内のもの。 |
<財務に関する書類>
書類名 | 内容・ポイント |
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貸借対照表・損益計算書(直近分) | 決算書または試算表。基準資産・純資産要件を満たしていることを確認。 |
資産明細書(様式第4号) | 資産の内訳(現金・預金・借入金等)を記載。 |
金融機関の残高証明書 | 預金残高で資産要件を満たしていることを証明。発行後1か月以内。 |
<施設・設備に関する書類>
書類名 | 内容・ポイント |
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事務所の賃貸借契約書 | 法人または申請者名義であること。 |
事務所の案内図 | Googleマップなどで事務所の位置がわかるもの。 |
事務所内の見取り図・写真 | 応接スペース、個人情報の管理場所の説明ができるもの。 |
<責任者・事業体制に関する書類>
書類名 | 内容・ポイント |
---|---|
職業紹介責任者講習の修了証コピー | 受講済みであれば提出。未受講の場合は後日提出でOK。 |
雇用契約書や辞令(責任者が社員である場合) | 責任者が常勤であることを証明。 |
<その他>
書類名 | 内容・ポイント |
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定款(法人の場合) | 事業目的欄に「職業紹介」関連の記載が必要。なければ変更要。 |
登記簿謄本(履歴事項全部証明書) | 発行から3か月以内のもの。 |
【提出にあたっての注意】
- 書類は正副2部提出が基本(原本+コピー)
- 内容に不備や記載漏れがあると差し戻しになる
- 提出前に、労働局窓口での「事前相談」を受けるのが確実
Step 3:書類審査
- 労働局による詳細な審査(1~1.5か月程度)
- 書類内容の正確性・要件充足状況の確認
- 電話やメールでの追加資料提出依頼あり得る
※場合により、現地調査(事務所確認)を実施することも。
Step 4:許可通知・許可証交付
- 問題がなければ、申請からおおむね2か月以内に許可が下りる
- 「職業紹介事業許可証」が交付され、正式に事業開始が可能
Step 5:事業開始の届出
- 許可を受けた日から1か月以内に、下記を労働局へ届出:
- 事業開始届
- 手数料設定届(紹介料などの金額)
- 責任者講習修了報告書(まだの場合)
<ポイント>
書類不備や要件未達があると、差し戻しや許可不可となる場合もこれら3つの要件がすべてそろっていないと、有料職業紹介事業の許可は下りません。
申請から許可取得まで:おおよそ2か月が目安
職業紹介責任者講習は「許可後1か月以内」でもOK(事前に予約推奨)
まとめ
職業紹介事業の申請は、単なる書類作成にとどまらず、制度理解・事務所整備・体制づくりまで含めた「事業づくりの第一歩」です。
弊社では、
・ 許可要件の事前診断
・ 書類作成と提出サポート
・ 講習スケジュール調整
・ 面談スペース・個人情報保護のアドバイス
まで、完全伴走型で支援しています。
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