私は、不妊治療と仕事との両立がしやすい環境整備に取り組む企業を認定する制度(令和4年4月~)ができて、 少しずつ企業の不妊治療に対する意識が変わってくれることを期待しているガッツリ妊活経験者です。
当時のことを振り返ると・・・。妊活と仕事の両立は、想像以上に大変でした。 仕事のスケジュールと通院の予定をどうにか調整しながら、「なんとか両立しなければ」と必死だった日々を今でもよく覚えています。 予定外の生理が来るたびに、すべてが狂いました。 次の治療スケジュールを考え直し、病院の予約を取り直し、それに合わせて仕事の予定を組み替えて…。 でも、どんなに気を配っても、思い通りにいかないことばかりでした。
ホルモン注射を打つたびに、気持ちが不安定になりました。 朝、出社前に病院へ行き、注射を打ち、鈍い痛みを感じながら職場へ向かう日々。 ホルモンの影響で涙もろくなったり、些細なことでイライラしてしまったり。 でも、仕事中はそんなことを表に出すわけにはいきません。 周りの人には「いつも通り」に見えていたかもしれませんが、心の中はいつも不安や焦りでいっぱいでした。
そんな中、周りの人が次々と妊娠・出産していくことも、正直しんどかったです。 職場の同僚や友人が「妊娠しました!」「無事に産まれました!」と嬉しそうに報告してくれるたびに、 心の中でいろいろな感情が渦巻きました。 もちろん、「おめでとう」と心から思います。 でも、その一方で、どうしても少しだけうらやましく感じてしまう自分もいました。 私も早くあの喜びを味わいたい、私の番はいつ来るんだろう…そんな焦りや不安が押し寄せてきました。 「妊活頑張ろうね」と励まし合っていた友人が先に妊娠したときは、嬉しいはずなのに、どこか取り残されたような気持ちになったこともあります。そんな自分が嫌で、自己嫌悪に陥ることもありました。
会社の昼休みにこっそりトイレに行き、病院に電話をして結果を聞く。 心臓がドキドキして、祈るような気持ちで電話を握りしめる。 でも、またダメだった。「どうして…」という思いと、「でも、午後から会議があるから泣いてる場合じゃない」という現実。 深呼吸をして、目をこすって、鏡の前で「大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせながら席に戻る。 でも、本当は全然大丈夫ではありませんでした。心はぐちゃぐちゃなのに、表情だけはいつもと同じように取り繕って、淡々と仕事を続けました。
何度も、「もう無理かもしれない」と思いました。 「仕事なんかしている場合じゃないんじゃないか」「もっと妊活に集中したほうがいいんじゃないか」と。 でも、もし仕事を辞めて妊活だけに専念していたら、きっと失敗のたびに気持ちが沈みすぎて、立ち直れなかったかもしれません。 仕事があったからこそ、気持ちを切り替える時間がありました。どんなに辛くても、目の前の業務をこなさなければいけない。嫌でも頭をリセットしなければいけない。その「強制リセット」が、私にとっては救いだったのだと思います。
もちろん、両立は決して簡単ではありませんでした。仕事を言い訳に「今日は妊活のことを考えない」と決めても、結局は考えてしまう。それでも、進むしかありませんでした。泣いても、落ち込んでも、また次の一歩を踏み出さなければならない。
今、振り返ると「あの頃の私、本当によく頑張ったな」と思います。 あのときの自分がいるから、今の自分がいます。きっと、同じように頑張っている人もたくさんいると思います。 もし、今まさに仕事と妊活の両立に悩んでいる方がいたら、伝えたいです。 「あなたは一人じゃない」と。 どんな結果であれ、今日も仕事をしながら頑張っているだけで十分すごいことです。 どうか、自分を責めすぎず、少しでも自分を労わりながら進んでいけますように。