特定技能の在留資格には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。それぞれに取得条件や注意点が異なるため、申請前にしっかり確認することが重要です。
① 特定技能1号と2号の違い
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
対象業種 | 14業種(介護・外食・建設など) | 2業種(建設・造船) |
必要な技能レベル | 基本的な業務ができる技能 | 高度な熟練技能 |
試験の有無 | 技能試験 + 日本語試験が必要(技能実習2号修了者は免除) | 1号からの昇格には試験が必要 |
在留期間 | 最長5年(更新は1年・6か月・4か月単位) | 無期限(更新可能) |
転職の可否 | 同じ業種内なら可能 | 同じ業種内なら可能 |
家族の帯同 | 不可 | 可能(配偶者・子供) |
雇用契約 | 企業と雇用契約を結ぶ | 企業と雇用契約を結ぶ or 自営も可能 |
重要:1号から2号への移行
特定技能1号で5年間働き、必要な試験に合格すれば2号に移行可能です。ただし、2025年3月時点では建設・造船のみが対象です。
② 受け入れ企業に関する注意点
特定技能外国人を雇用する企業は、適正な受け入れ体制を整えている必要があります。
1. 企業が適正な受け入れ先であること
不法就労や賃金未払いなどの違反歴がある企業は受け入れ不可。
雇用契約の適正化
- 日本人と同等以上の賃金を保証する
- 労働時間・残業手当を正しく支払う
支援体制の整備(特定技能1号のみ)
- 特定技能1号は、生活支援が義務(住居探し・行政手続きサポートなど)
- 特定技能2号は、支援不要(技能レベルが高く、支援なしで生活可能とみなされる)
2. 特定技能の対象業種に該当していること
特定技能の対象業種は決まっており、対象外の業種では申請できません。
特定技能1号の対象業種(14業種)
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材産業
- 産業機械製造業
- 電気・電子情報関連産業
- 建設業
- 造船・舶用工業
- 自動車整備業
- 航空業
- 宿泊業
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
特定技能2号の対象業種(2業種のみ)
- 建設業
- 造船・舶用工業
③ 外国人側の注意点
特定技能の在留資格を取得するためには、外国人自身も注意すべきポイントがあります。
1. 技能試験・日本語試験の合格が必要(特定技能1号)
特定技能1号を取得するには、特定技能評価試験(分野別の技能試験)と日本語能力試験(N4以上)に合格する必要があります。
例:試験の種類
- 外食業:「外食業技能測定試験」+「日本語能力試験N4以上」
- 介護:「介護技能評価試験」+「日本語能力試験N4以上」
技能実習2号を修了した場合は試験免除
技能実習2号を修了すると、同じ業種での特定技能1号取得時に試験が免除されます。
2. 特定技能2号は高度な技能が必要
- 特定技能2号は、1号よりも高度な専門技術が求められる
- 1号で5年間の実務経験を積み、試験に合格すれば2号に移行可能
④ 在留資格の申請・更新に関する注意点
1. 申請は企業が行う
特定技能の在留資格申請は、原則として受け入れ企業が行うため、企業が正しく手続きを進めることが重要。
2. 在留資格の更新
● 特定技能1号の更新
- 在留期間は最長5年(更新は1年・6か月・4か月単位)
- 更新時に以下が確認される
- 企業との雇用契約が継続しているか
- 適正な労働条件が守られているか
- 技能試験や日本語能力を維持しているか
● 特定技能2号の更新
- 在留期間の制限なし(無期限)
- 更新手続きはあるが、在留期間の上限はない
3. 転職の制限
特定技能の在留資格は「職種ごと」に認められるため、業種を変える場合は新たな資格申請が必要。
例
× 外食業 → 介護業(新しい試験と申請が必要)
〇 飲食料品製造業 → 外食業(類似業種のため比較的スムーズ)
⑤ 特定技能外国人の生活支援に関する注意点
特定技能1号の外国人を受け入れる企業は、外国人が安定して生活できるように支援する義務があります。
● 登録支援機関の活用(特定技能1号のみ)
企業が直接支援することも可能ですが、多くの企業は「登録支援機関」に支援業務を委託しています。
<支援内容>
- 事前ガイダンス
- 出入国する際の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続等への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談・行政機関への通報
特定技能2号は支援義務なし
まとめ
・ 短期間(最長5年)働きたい → 特定技能1号
・ 日本に長く住みたい・家族を呼びたい → 特定技能2号(建設・造船のみ)
特定技能の取得を目指す場合は、1号・2号の違いを理解し、事前準備をしっかり行うことが重要です。